お知らせ・ブログNEWS & BLOG

2020年11月24日

働き方改革の実務 同一労働同一賃金③

logo.jpg

「同一労働同一賃金」という言葉は、時には「同一価値労働同一賃金」の意味で使われることもあります。同じ労働に対して、性別や人種、年齢などの差別がなく、同じ賃金を支払うという考え方はとても明快といえます。ですから、ヨーロッパ諸国では産業別労働組合によって職務ごとの賃金水準が企業横断的に決定されており、これが労使間のルールになっています。
しかし、日本の場合には事情が少し異なります。終身雇用、年功序列、企業別労働組合を特徴とする日本型雇用慣行の中で、正社員の賃金は職業能力評価などによって決まる職能給が主流になっています。勤続年数とともに能力は高まるとされ、実際の職務に対してではなく、職能に対して賃金が決定されることから、同一価値労働同一賃金を即座に適用することは難しいとされているわけです。

日本において正社員と非正規社員との均等待遇を考える場合、正社員には職務内容、責任、役割期待といった非正規社員とは異なる人事賃金制度を適用しているわけですから、雇用形態の違いによって賃金に相違があって当たり前ということになります。しかし、こうした処遇の相違について争った裁判があります。(丸子警報器事件)判決では、一定の勤続年数が有り、職務内容が正社員と同視できる臨時社員の待遇について、会社の裁量の範囲を逸脱した正社員との賃金格差があったとして公序良俗に反するとしました。
その後、非正規社員の増加を背景に、こうした判例の影響などもあって、定められたのが、パートタイム労働法9条「差別的取扱いの禁止」(均等待遇)の規定です。現行のパート・有期労働法9条では、有期雇用労働者にも適用が拡大されたほかは、その解釈に大きな変更はなく、以下の2要件を満たすパート、有期雇用労働者については、すべての待遇について通常の労働者と同じ扱いをしなければならず、基本給、賞与その他の待遇について、差別的取扱いをすることが禁止されています。
➀職務の内容が通常の労働者と同じであること
②職務の内容・配置の変更の範囲が当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、通常の労働者と同一の範囲で変更されることが見込まれること
なお、差別的取扱いが禁止されるのは、パート、有期雇用労働者であることを理由とするものですから、客観的かつ公平な人事考課等によって個々の労働者について賃金水準に違いが生じることには問題はありません。

福岡労務ニュース2020年10月号の記事を再構成