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2021年5月19日

同一労働同一賃金(賞与)

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今回は賞与がテーマです。正社員の場合、賞与は基本給などをベースに企業業績や人事評価を加味して支給されるのが一般的です。その一方、非正規社員には不支給だったり、寸志だったり、その取扱いは様々でしょう。同一労働同一賃金の観点から賞与をどう考えれば良いかを見ていくことにします。

一般的に賞与には、賃金の後払的性格、会社への貢献の功労褒賞的性格、収益の分配的性格、将来の労働に対する意欲向上など、様々な趣旨・性格があるとされており、会社ごとにその性格付も異なっていると考えられます。

それだけに趣旨・性格の違いは、正社員と非正規社員との賞与の取扱いに反映されることになり、また、正社員と非正規社員との「職務の内容」や「人材活用の仕組み」などの違いも賞与の支給基準に影響を及ぼします。
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同一労働同一賃金ガイドラインで取り上げられているのは、賞与の支給基準を「会社の業績等への労働者の貢献に応じて」としている会社の場合ですが、「職務の内容」の違いによって賞与の支給に違いがあっても問題はないとしています。しかし、貢献度合が正社員・非正規社員で同等だったり、「職務の内容」等に関係なく正社員に一律支給されたりしている場合には、両者で取扱いに相違があれば問題になるとしています。

次に裁判例を見てみましょう。これまで賞与の格差について不合理とした判決はありませんでした。その理由は、「将来的に有為な人材を確保するために正社員には高い労働条件を提示する」という有為人材確保論や「賞与の制度設計においては使用者の経営判断が認められる」ということが肯定され、裁判所の判断が下されてきたためです。

こうした裁判所の判断が続く中、不合理の判断を下して耳目を集めたのが、大阪医科薬科大学事件です。賞与が年齢や成績、大学の業績にも連動することなく、就労したこと自体に対する対価であるとして、功労報償的な性格を認定し、大学のアルバイト職員への賞与不支給を不合理な相違としました。ただし、この事件も令和2年10月の最高裁判決において、正職員の人材確保・定着を図る目的を重視し、職務の内容の違いなどを認めて、賞与不支給を不合理とまではいえないと判断されています。

しかし、これはあくまで個別ケースでの判断です。非正規社員は賞与不支給でよいとは言い切れません。自社の賞与の趣旨・性格に照らしながら、正社員と非正規社員との「職務の内容」「人材活用の仕組み」などに違いがあればその違いを考慮して、賞与の支給基準を合理的なものとする必要があります。

(福岡労務ニュース2021年4月号の記事を再構成しました。)

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2021年4月号の主な内容
 65歳超の就業確保措置が努力義務化!
 退職後の不正発覚で懲戒解雇処分による退職金返還を求められるか?
 新型コロナ対策で産業雇用安定助成金を創設