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2021年8月16日

派遣労働者の同一労働同一賃金 その1 派遣先均等・均衡方式

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派遣労働者の「同一労働同一賃金」の基本的な考え方は、パート・有期雇用労働者と同じです。しかし、労働者派遣という特性から、その取組みの方法には、「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」との2方式があります。

「派遣先均等・均衡方式」は、派遣先企業の通常の労働者との比較において、①不合理な待遇の相違を設けることの禁止(均衡待遇) ②正当な理由のない不利な待遇の禁止(均等待遇) を求めています。

そのためには、派遣会社と派遣先企業とでの派遣料金の交渉や派遣契約の締結に先立って、派遣会社では必要な待遇の情報について派遣先企業から提供を受け、派遣労働者の待遇の検討・決定を行う必要があります。
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このため、改正派遣法では、派遣先企業に対しては、自社の労働者の待遇に関する情報を派遣会社に提供することを義務づけ、また、派遣会社に対しては、派遣先企業から当該情報について提供がない場合は、派遣契約をしてはならないと定めています。

派遣先企業が比較対象となる労働者を選定する基準の順序は、派遣先企業が雇用する労働者全体の中から、まず、①「職務の内容と職務の内容・配置の変更の範囲が派遣労働者と同一であると見込まれる通常の労働者」であり、そうした人がいなければ、②「職務の内容が派遣労働者と同一と見込まれる通常の労働者」となります。
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さらに②に該当する人がいなければ、③「業務の内容」又は「責任の程度」のいずれかが派遣労働者と同一の通常の労働者、④「職務の内容及び配置の変更の範囲」が派遣労働者と同一の通常の労働者、⑤ ①から④までに相当するパート・有期雇用労働者、⑥派遣労働者と同一の職務の内容で業務に従事させるために新たに通常の労働者を雇い入れたと仮定した場合における当該通常労働者、といった6段階の順序で選定します。

以上のように派遣先企業の負担が多く、また派遣先企業が大企業の場合は賃金水準も高いであろうことから、また、派遣先が変わっても待遇を変える必要のない「労使協定方式」が大半を占めています。

福岡労務ニュース2021年7月号の記事を再構成しました。
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井上晴司

編集者:井上晴司

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