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2025年1月16日

年次有給休暇の請求手続き 事後の届出(就業規則)

年次有給休暇は、労働日を単位として付与されます。労基法39条の労働日は、原則として暦日計算によるべきものと解されています。つまり午前0時から午後12時までの24時間をもって1労働日の休暇となります。休暇当日の朝の年休の請求は、適法な時季指定とはいえませんが、認めている会社も少なくないと思います。

労基法の年休の時季指定権の行使は、誰が、いつ、年休を取得するかの意思を通知すれば足り、会社の承諾も必要ないというのが通説です。時季指定の代理行使や補助者を通じた行使も原則として認められると解したものがあります。一方でこれと異なる裁判例もあり、「就業規則に定める所定の手続きをしていない」として、本人以外の時季指定の効力を否定するものもあります。本人以外の年休の権利行使は、時季指定の時期が不明確になる可能性があります。労基法上与えることを義務づけられている年休は就業規則の記載事項です。事後に振り替えることによって年休を消化したものとして処理することなどから所定の手続きを規定化しておくべきでしょう。

欠勤等をする際、やむを得ない事由により事前に届出ができないときには、原則として本人が会社へ連絡し、出勤した日に届け出るといった規定例があります。年休の振替に関しては、事後の速やかな届出により当該欠勤を年休に振り替えることができると規定しておき、ただし書きで、振替を認めるかどうかは会社の裁量に属するとの規定を設けておくのがよいでしょう。

福岡労務ニュース 2025年2月号の記事を再構成しました。

井上晴司

編集者:井上晴司

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