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2023年11月24日

「年収の壁」支援パッケージを公表

厚労省からいわゆる「年収の壁」の解消に向けた支援強化パッケージが公表されました。

年収の壁とは、パートやアルバイトなど短時間労働者に社会保険料などの負担が発生する収入額のことです。手取り収入の減少を避けるため、社会保険への加入要件となる「106万円」、家族の扶養から外れる「130万円」を意識して、就業調整する人が一定程度いるとされています。政府は、こうした年収の壁を意識することなく労働参加できる環境作りに向けて、バタバタ当面の対応策をまとめました。

106万円の壁への対応では、なぜか雇用保険のキャリアアップ助成金に新たなコースを新設し、労働者の収入を増加させる取組みを行った事業主に対し、労働者1人当たり最大50万円の支援を行います。労働者の収入を増加させる取組みが、賃上げや所定労働時間の延長のほか、社会保険料負担軽減のための手当(社会保険適用促進手当)の場合でも助成対象となります。これ(社会保険適用促進手当)は本人が負担するべき保険料を事業主が代わりに負担してそれに雇用保険から事業主に補填する仕組みです。社会保険制度の公平性をゆがめると苦情が出るかも知れません。

なお、社会保険適用促進手当については、保険適用によって新たに発生した本人負担分の保険料相当額を上限に、支給した手当を標準報酬月額の算定に反映させないことになっていますが、この特例は健康保険・厚生年金保険の標準報酬月額等の算定に限られ、源泉所得税や住民税、労働保険料については通常どおりで、給与計算や算定基礎届等の事務が複雑になり、事務負担が増し、手続の間違いが増えることが危惧されます。それに、保険料を上げないのは名目で、傷病手当金や年金は抑えようとする意図もあるのでは?

また、130万円の壁への対応では、一時的な増収によって130万円を超えた場合でも、事業主の証明を添付することで、連続2年まで被扶養者に留まれるようになります。

福岡労務ニュース2023年12月号の記事を再編集しました。

 

井上晴司

編集者:井上晴司

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