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2023年5月16日

健康保険証は廃止へ マイナで保険証

政府は、マイナンバーカードの健康保険証との一体化などを盛り込んだマイナンバー法等関連改正法案を閣議決定しました。昨年6月の骨太の方針において、既に現行の保険証の原則廃止を謳っており、改正法案が今国会で成立すれば、マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせたマイナ保険証への切替えが大きく進むことになります。

マイナ保険証の導入は、社会のデジタル化推進の一環としてマイナンバーカードの普及と、医療・看護分野のデジタル化を後押しし、医療関係者や患者の利便性を高めるのが目的とされています。マイナ保険証は、医療機関や薬局に設置された専用のカードリーダーで情報を読み取り、本人確認をします。患者が同意すれば、過去の健診の情報や処方された薬などの情報を医師らが確認することができ、初めて受診する医療機関でも診断・治療に役立つ他、調剤の重複を避けられるといった様々な利点があります。

改正法案では、マイナンバーカードの取得が困難な高齢者などには、保険証の情報が記載された資格確認書(有効期間1年)が発行される他、従来の保険証も1年間有効とされます。ただし、資格確認書や従来の保険証で受診した場合、マイナ保険証よりも窓口負担が割高になることが考えられます。現在でも窓口負担が3割の場合、従来の保険証を使った場合の初診の追加負担は、マイナ保険証より12円高い18円となり、再診では新たに6円が加算されています。

マイナンバーカードの取得は個人の判断とされていますが、健康保険証を廃止してマイナ保険証に一本化することは、事実上、カード取得の義務化を意味します。法案が成立すれば、令和6年秋にはマイナ保険証に一本化されますが、移行期にはマイナ保険証、従来の保険証、資格確認書の3つが混在することになり、さらに、同一診療であっても窓口負担額が異なることもあり得ることから、医療現場での混乱が懸念されています。

福岡労務ニュース2023年5月号の記事を再構成しました。

井上晴司

編集者:井上晴司

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